3つの“間”と“余白”をデザインする

 コロナ禍に端を発して始まったコーポレートカルチャーの強化策。例えば、次のような取り組みがある。

「取り組みの1つが、朝会での『Business-Do:The Way to Successful Leadership』の輪読です。これは三木谷浩史の経営哲学をまとめたもので、全88章で構成されます。また、実際に三木谷が各章ごとに解説を行い、社員からの質問にも答えます。

 リモート環境下でもミッション、ビジョン、バリューを伝える機会を増やしました。他方、従業員主動の取り組みとして、社員同士の繋がり強化やコーポレートカルチャー醸成を目的に『Rakuten Culture Cafe』というオンラインカフェを有志の社員中心にオープンしました。

 そこでは、楽天が大事にしている価値観(楽天主義)を共有し、スモールグループでアクティビティが行われています」

 この他にも小林氏は、同社のコーポレートカルチャーを強化するため、さまざまな取り組みに注力してきた。

「われわれの取り組みは、大きく3つのイニシアチブに分けることができます。『目的と多様性』は、われわれが何のために集まっているのか、誰が集まっているのかを意識するための取り組み。『リズムとスイッチ』はリモートワークで働き方が一変した最中でWell-Beingな働き方を提供する取り組み。そして『場とツール』は自宅を含めた仕事環境への配慮・サポートを行う取り組みです」

 さらに、これら3つを整理すると「仲間をつなぐ」「時間を区切る」「空間を整える」という、Collective・Well-Being(コレクティブ・ウェルビーイング)のための“三間”(さんま)が生まれると、小林氏は話す。
「三間を意識してもらうことで、仲間・時間・空間の周辺には多様な仲間との雑談、計画的な休憩、場所・協業ツールの選択肢といった“間・余白”ができます。

 先行き不透明な時代において企業は、自社の目的・存在意義、そして価値観を明確化・発信しながら仲間・時間・空間といった間(余白)をデザインし、多様な価値観を持つ社員が各々の能力を発揮できる環境を整えなければいけないのではないでしょうか」

 会社として集まっている目的が明確になれば、自主性が生まれ、おのずと求心力は高まっていく。これからの時代において組織力を発揮して勝ち抜いていくには、Well-BeingとWell-Doingのバランスをとり、求心力を持って取り組んでいくことが鍵となる。