超リアルな近未来オンライン会議「プロジェクト・スターライン」

 グーグルが2021年5月18日に開催された年次カンファレンス「Google I/O 2021」で発表した「プロジェクト・スターライン」。ユーザーの前に置かれた高解像度のカメラと振動センサーを組み合わせ、リアルタイムで3Dキャプチャを行う。そして生成された3Dモデルを100倍程度に圧縮して伝送、裸眼で立体視の可能なライトフィールドディスプレイに投影することで、リアルタイムでのビデオ通話が可能になるというシステムだ。

 装置自体はビデオブースのようなしつらえで、エモーショナルな臨場感を強調するために視覚だけでなく、聴覚(空間オーディオ技術)にも強くこだわっているようである。

 以下の動画を見てほしい。「プロジェクト・スターライン」の技術によって、遠く離れた街にいる友人や家族の姿が等身大でお互いにはっきり見え、肌や洋服の質感までも伝わり、自然な会話や手話などのジェスチャーも可能になる。映像で確認する限り、リアルの世界よりも鮮明な見え方をしているのではないか、と感じるほどだ。

(参考動画)Project Starline: Feel like you're there, together

高解像度カメラと深度センサーで取得したデータをリアルタイムに3Dとしてデータ化する。3Dのデータ量は膨大なのでリアルタイムで圧縮し、低遅延で伝送する技術も重要だ(グーグルのYouTube動画よりキャプチャ)

 グーグルのスンダー・ピチャイ(Sunder Pichai)CEOは「向かい合って座っている感覚に限りなく現実に近いものだ。目を合わせることもできる。リモートコラボレーションの限界を限りなく広げていく」とインタビューで強い自信を表明している。

 グーグルの発表によると、2021年後半には医療やメディア企業などへのトライアル導入を始めるという。導入時点でのコストはおそらくとてつもなく高いものになるだろう。しかし、グーグルでは「物理的には一緒にいられなくても一緒にいたいと思う」ことを重要な課題と考え、将来的にはより多くの人が手頃な価格で利用できるようにしていくという。さらに「プロジェクト・スターライン」を通じて獲得した技術上の成果をグーグルのコミュニケーション製品にフィードバックすることを目指すとのことだ。

 何年か後、PCやタブレットでグーグルミート(Google Meet)を使うことで、「プロジェクト・スターライン」のような臨場感あふれる体験が得られるようになるのであれば、現在Zoomが牽引するビデオ会議システムの勢力図が塗り替えられる可能性があるかもしれない。

ユナイテッド航空が大量発注、超音速旅客機「オーバーチュア」

 グーグルの「プロジェクト・スターライン」がバーチャル技術の極みである一方で、リアルの長距離移動を革新しようというダイナミックなチャレンジもある。超音速旅客機の開発がまさにその最先端である。物理的な移動時間を短縮できれば、旅の目的地で過ごす時間や体験がより豊かなものになることは想像に難くない。