日中の違いを生かすことが成功の近道

 近年は、米中対立・日中関係の改善(外部要因)、そして中国ネット人口増加の限界・市場の飽和・中国企業のグローバル志向(内部要因)を背景に、日本市場が中国ビジネスの最前線になりつつあります。私がインタビューした中国企業の日本市場に対する印象でも、「日本は世界の中でも比較的大きい市場」「日本の厳しい消費者から評価を受けたい」「日本で成功できれば他の先進国にも進出できる」といった声が数多く挙がりました。

 では、今後、日本企業は中国企業とどのように付き合っていけばよいのでしょうか。

 ここまでお伝えしてきた通り、中国は刻一刻とダイナミックに変化を遂げています。まずはそうしたチャイナテック(中国のデジタル革命)の実像を正しく理解する必要があると思います。これまでの中国企業といえば製造業のイメージが強かったかもしれませんが、サービス業もテック企業も豊富なイノベーションリソースを持つようになっています。こうした豊富なイノベーションリソースを日本企業が活用できるかどうかが、今、問われているのです。

 もう一つ重要なのは、互いの違いを尊重することです。私は日本に来てからもうすぐ20年になり日本の良さも十分に理解していますが、やはり日本と中国では“違い”があります。そのためにいがみ合ったり競い合ったりするのではなく、互いの違いを生かす必要があると思います。違いがあるからこそ、違いを生かし合える。両国の違いを生かした連携によってビジネスを成功に導けると私は信じています。