※本コンテンツは、2021年6月29日に開催されたJBpress主催「第4回 リテールDXフォーラム」の特別講演Ⅰ「成功=ヒト×DX」の内容を採録したものです。

コロナショック後はDXの時代になる

 デジタルシフトウェーブは2017年3月1日に創業しました。経営ビジョンは、デジタルシフトビジネスに新しい波を起こすこと。さまざまなお客さまのデジタル変革を支援しています。今回は、6月に出版した『成功=ヒト×DX デジタル初心者のためのDX企業変革の教科書』(プレジデント社) の内容から抜粋し、DXをどのように進めたらいいのかお伝えします。

 今、われわれの時代は「革命」の最中です。最初の革命は農業革命、次に産業革命。そして現在は、20世紀のインターネットの登場によって起きた情報革命の中にいます。人はインターネットでつながり、時間、場所を超えた価値創造が可能になりました。

 下の図では、戦後の日本のGDPを並べています。高度成長期、安定期~バブル期、バブル崩壊期、(インター)ネット創成期、ネット普及機、ネット発展期と、経済の落ち込みをベースに期を区切っています。高度成長期のオイルショック、バブルがはじけて起きた金融ショック、ネット創成期のリーマンショック、そしてコロナショック。経済が落ち込んだ時に必ず経済の転換が起きています。

 経済の転換とともに成長業界も変遷しています。直近では金融ショックの頃にインターネットが登場しており、リーマンショック後には“スマホファースト”というキーワードのもと、 BtoC業界が伸びていきました。そして、今回のコロナショックです。次は何がくるかと今、全産業が動き始めているのがデジタル変革です。今後はDXに対応できる企業は伸び、今までと変わらずにいる企業は衰退していくことが予想できます。

デジタルシフトの波がデジタル変革をもたらす

 社会は大きく変化し、グローバル化、人生100年時代、格差、環境など、さまざまな社会課題を抱えています。それと同時にクラウド、AI、RPA、エコシステム、コンタクトレステックなどITの劇的進化があります。この2つが掛け合わされたものが、デジタルシフトの波の正体です。

 流通ではアマゾンエフェクト、金融ではフィンテックエフェクト、自動車では自動運転を支える技術コネクテックドカーエフェクト、医療では遠隔医療エフェクトなど、あらゆる業界がこのデジタルシフトの影響を受けています。

 このデジタルシフトによって、デジタル変革がもたらされていきます。デジタルシフトは、既存のアナログ業務をデジタル化することですが、これに対してデジタル変革は、既存のビジネス自体を変革させていくことになります。

 先行き不透明なこれからの時代に生き残るには、デジタルを活用し変革していくことが必須です。変革を成功させるキーワードは「成功=ヒト×DX」の方程式。人々の意識・スキル・行動自体を変革させ、デジタルを活用して、企業と人々の生活を変革させていくことです。個人が変わり、企業が変わらなければ生き残れない時代なのです。

デジタル化も企業変革もヒトがなし得るもの

 DXとは何か。経済産業省の「DX推進ガイドライン」より抜粋すると、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とあります。

 つまり、DXは「デジタルにより仕事や生活が変革されること」です。メディアは、デジタル化だ、DXだとはやし立て、さらにコンサルティング会社、システム会社、広告代理店、人材紹介会社などがDXブームに乗ってさまざまな提案を始めています。その結果、デジタル化が目的の「DXバブル」になってしまっています。

 当社はDXを目指す企業の最終的な駆け込み寺のように捉えられているようで、最近よく相談されることの中に、下の図のような「DX支援会社さんあるある」があります。DXの本質を理解せずにこのような話に乗ってしまうと痛い目に遭います。

 忘れてはいけないのは、DXの本質です。デジタル化(D)も企業変革(X)もヒトがなし得るものです。 DX の本質は「ヒトの意識と行動の変革」。企業の中の従業員も含め、人がどのように変わっていくのかにフォーカスして進めていくことが、成功につながっていくのです。

迷走する5つの理由とその5段階の解決策

 当社に相談にくる企業は、DXで暗礁に乗り上げていることが多く、迷走している印象です。迷走する理由は、大きく5つに分類できます。

Case1.経営者は掛け声ばかりで、全く進まない
Case2.DX推進室、デジタル推進部など専任部門を設置しても、ノウハウ不足で停滞
Case3.マーケティング部門が盛り上がるが、全社的には何も変わらない
Case4.システム部に任せ、開発・ツール導入が増えるばかり
Case5.変革するも長続きせず、全社定着に至らずに自然消滅

 根本的な共通する迷走の要因は「ヒト・組織」にあります。当社ではこれらをクリアするために、「成功=ヒト×DX」の実行を5つのステップで進めています。

1. 経営者の意識を変え決意を促す:DXを進める際に必ず経営者にお願いしていることは、①時代の変化を強く認識すること、②人任せにせず、率先垂範で行動すること、③全社を巻き込む変革の覚悟、④諦めない心を持ち続けること、この4つを覚悟するということです。

2. デジタル推進体制を構築する:次にリーダー、メンバーを慎重に選ぶことが大切です。極意は6つあります。

3. 未来を想像し業務を改革する:デジタル変革は「業務改革」を前提とすることが大切です。過去の延長線上の思考、現状課題のクリアは「業務改善」です。「業務改革」ではロケットに乗って未来の新天地を目指すように、マーケットや全社の視点で、未来の業務を想像するアプローチが大切になります。

4. 自社でIT をコントロールする:従来のシステム開発は、独自の思考でスクラッチ開発をしてきました。最近はクラウド化の時代になり、システムが先にあってそれを利用するというように変わってきています。システムに業務を合わせていく、システムをどう適応させていくかという発想で、システムをコントロールすることになります。

5. 変革を定着させ加速させる:企業変革をするとなると個人や組織からの抵抗が起きます。ここで諦めずに続けることが非常に大事です。

自走によるDXを目指し、人材育成から取り組んでいく

 当社はDXを目指す企業の立場に立ち、DX を支援する企業とともに、経営者の業務・システムを改革するサポートをしています。日本はDXを実践できる人材が少なく、このような課題から、DX専門のWebメディア「DX MAGAZINE」を創刊しました。特に若手を中心にDX実践者を育てていきたいと考え、「DX実践塾」も開講しています。DX実践者は、知識を覚えるだけではなかなか育ちません。こういう場で実践者との交流も含めて、自走によるDXを目指して、人材育成から取り組んでいただきたいと思います。