※本コンテンツは、2021年6月23日に開催されたJBpress主催「第9回 DXフォーラム」の特別講演Ⅰ「DX第二回戦は日本にチャンス!アフターデジタルの先、AI/5G/IoT時代に勝ち続けるDX戦略デザイン」の内容を採録したものです。
DXの本質は「顧客・社会志向で変質進化していくこと」
元スマートニュースの西口一希氏(現「Strategy Partners」代表取締役、「M-Force」共同創業者)は、かつて自身の講演の中で、DXを「業務DX=現在のビジネス業務自体のコスト削減と最適化」「事業DX=現在のビジネスモデルのデジタル世界への適合(シフト)」「価値DX=デジタル化による顧客提供価値の飛躍的向上・普及」の3つに大別しました。
西口氏の発言通り、DXの最終目標はあくまで価値DXであり、業務DXと事業DXは価値DXにたどり着くまでの前提条件になるものだと私も考えています。
そもそも、DXは何のために行うのでしょうか。DXという言葉の定義はおおよそ「企業がテクノロジーを利用して、事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」ことですが、もともとのDX提唱者であるエリック・ストルターマンは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」概念としてDXを提唱しました。
DXと言えば「破壊的進化」だけに着目されがちですが、DX本来の目的はデジタル庁の基本方針(『デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針』)にあるように、多様な国民がニーズに合ったサービスを選択でき、国民一人一人の幸福に資する「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を進めることであり、国民の幸福な生活を実現する「人に優しいデジタル化」のため、徹底した国民目線でユーザーの体験価値の創出を図ることです。
DXの本質は「顧客・社会志向で技術の連なりから非連続に変質進化していくこと」だと肝に銘じてください。