データ戦略は狩猟時代から農耕時代へ

 ここまで「Loop」という言葉を用いてきました。これまでのAIといえば「Data is King(データが全て)」でしたが、 AIブームから5年がたった今、AI自体は誰でも使えるようになっています。今は、Data is KingではなくLawGeexのように「データが自然と入ってくるLoopを仕組み化すること」が重要。「Loop is King」の時代へと移行していると言っても過言ではありません。

 特にLawGeexの場合、AI自動化とAIの精度向上で、徐々にコストが削減されていく1重目のLoopと、専門的な弁護士が自分のやりたい契約書レビューだけを行い、人間的な成長をしていける2重目のLoopが介在していました。私はこれを「Double Harvesting Loop」と呼んでおり、2021年には『ダブルハーベスト 勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン』(堀田 創氏との共著、ダイヤモンド社)を発表しました。

 これからのデータ戦略は、狩猟時代から農耕時代へ移り変わります。ビッグデータという言葉が象徴するように、これまでは今あるデータ資源を狩り尽くす(ハンティングする)というイメージが強かったかもしれません。

 しかし、これから始まるDXの2回戦は「ハンティングからハーベスティングへ」。ループ化された仕組み・戦略の中で、データを収集・収穫する持続サイクルが最重要になっていくでしょう。