日本はHuman in the LoopとExpert in the Loopが得意な国
AIを活用した企業の戦略としては「Human in the Loop」「Expert in the Loop」と呼ばれる考え方が日本の性質に合っていると思います。その一例がリーガルテックベンチャーのLegaLogicによる「LawGeex」。これはAI契約書レビューの自動化サービスなのですが、特徴的なのはサービスの中で弁護士とAIが協働していることです。
これから挙げる数値はあくまでイメージを促すための一例ですが、同サービスでは最初、契約書レビューの20%しかAI自動化に対応できません。自動化できない80%はLawGeexの弁護士が代行します。しかし、20%自動化されるだけでもユーザー企業は2割の人件費を削減できます。
問題はLawGeexの弁護士が代行した80 %の作業です。そこから得られた成果はデータ化され、トレーニング用にAIにフィードバックされます。AIは学習・強化を繰り返すので、30%、40%、50%とAIの精度は向上します。もちろん、それに伴いユーザー企業の人件費もどんどん抑制されるようになります。
AIを活用したDX戦略というと、最初から「100%の精度」を目指してしまいがちですが、こうしてエキスパートとAIを組み合わせるだけでも、十分に成功するサービス開発は可能であることが分かります。エキスパートのサポートが丁寧な国の方が、こうしたサービス開発には強く、その意味で日本は「Human in the Loop」「Expert in the Loop」を得意とする国であるといえるでしょう。