「やりたいこと」を自覚する機会はあるか

 今回たまたまA社で個別相談の機会を頂き、Bさんと向き合うことができたが、実際には「やりたいことが分からない」ことに悩んで、わざわざ自分からカウンセラーやコーチに相談しよう人はまれだろう。

 そもそも「やりたいことが分からない」ということに気が付く機会が得にくい企業もあるだろうし、「やりたいことが分からない」ことで真剣に悩まなければならない状況も多くはない。

 しかし、たった30分でやりたいことに気付き、モチベーションが上がって変革に向き合っていけるのならば、「やりたいこと」を自覚するための機会を、組織の中で設けてもよいのではないか。

 これはメンバーだけに当てはまることではない。管理職も同様である。私は管理職研修も多く手掛けているが、「この年でやりたいことと言われても」と尻込みする人や、やりたいことと称して与えられたミッションについて苦しそうに話す人は多い。

 また、「やりたいことだけできるわけではない」と怒りを表す人もいる。確かに、自分のやりたいことだけができるわけではないだろう。

 だが、自分のやりたいことでやってもいいことは躊躇なくやってもいいのではないか。また、自分のやりたいことを自覚するくらいしたっていいはずだ。ぜひ、メンバーの、そしてご自身の「やりたいこと」について自覚するためにはどうしたらいいのだろうか、と思いを巡らせてみてほしいと思う。

 今回は「やりたいこと」を自覚すれば、組織と人は変わることができるということについてお話しした。では、次回はその先にある「自由」について考えてみよう。

コンサルタント 大﨑真奈美(おおさき まなみ)

R&Dコンサルティング事業本部
R&D組織革新・KI推進センター
チーフ・コンサルタント

技術者・研究者の企画力向上や、R&D組織革新の支援に従事している。最近は、技術者・研究者の心に火をともすことをミッションとしており「火おこし」役として日々実践・研究をしている。2児の母。カウンセラー資格を持っている。