デジタルマーケティングは聴覚の領域にも

 読者の皆さまも在宅勤務に慣れ、時にはビデオを切って音声のみでオンラインミーティングを行うこともあり、「心地よい音声や頭に入ってきやすい音声」が存在することに気付いた方も多いのではないかと思う。

 同じような内容であっても声の違いで受け取られ方や印象に違いが出る。であるならば、マーケティングにおいても「顧客に1to1化された音声でコミュニケーション」が取れるのであればその効果はとても大きいというのは想像に難くない。

 そして、これを実現するのが「ディープラーニング技術を駆使した音声合成技術」だ。

 Aさんにとって一番心地良い音声の持ち主がBさんだったとしよう。(これは音声によるコミュニケーションが一般化し反応データが取れるようになるのが前提だが)Aさんにある商品を薦めたいとき、Bさんに毎回来てもらって説明してもらえれば最高だが、現実的にそれは難しい。

 そこでBさんにマイクへ向かってたくさんのパターンでしゃべってもらい、これを録音しAIに学習してもらう。そうして出来上がるのが「まるでBさんそっくりにしゃべらせることができるモデル」だ。このモデルをWebサイト上の音声Chat Botやスマートフォンアプリの音声ガイダンスに適用することで、対象の顧客が最も心地良く聞きなじみの良い音声でメッセージを届けることが可能となる。

 もちろん、こういった音声合成技術は昔からあるが、「高価」で「時間が掛かり/技術的に難しい」「クオリティが高いとは言えない」という課題を抱えていた。

 そこへ現れたのが、ハイクオリティなカスタムメイド音声合成技術を非常に安価かつ手軽に提供予定のYellston社「CoeFont Cloud」で、筆者は非常に注目している。

 こうしてハイクオリティな合成音声が手に入ったのなら、その音声を使って自動的に顧客と対話させたいと考えるのがマーケターだろう。もちろん、そうした対話技術も非常に高度化されてきている。

 Nvidia社の「Jarvis」に代表される高精度言語認識・ハイスピード対話AI技術は、そんな夢を現実のものにするレベルにまで進化している。