DXツールを使うことで売り場の管理がしやすくなる

 定番売り場の棚割りをシステムで把握することは小売業にとって必須ですが、個店別が難しければ、売り場面積と立地でパターンごとに管理することもできます。取引先と共通フォーマットにして、取引先の棚割りを読み込む方法もあります。

 売れ筋商品はロットをケース単位にして、売り場に2ケース分並べ、隙間が空いたら自動発注。こうすると、品出しが楽になり、納品頻度が下がり、物流効率が上がり、仕入原価を下げることもできます。こうした売り上げ予測のためにも、棚割りのシステム化は重要です。

 特売売り場については、本部が重点商品の目標値を設定し、標準化した売り込み方を店に情報提供し、店側はどう実行するか販売計画を立て、本部はそれをスーパーバイザー制度でサポートする。こうした仕組みづくりが重要です。
 さらに、販売計画に沿って土、日で売り込み、月曜日にその結果を検証して次の打ち手を考えます。私たちは「ウイークリーマネジメント」と呼んでいますが、POSデータで売り上げ、粗利益、在庫を出しながらPDCAを週次で回すことをぜひ実行してください。 

 他にも、テクノロジーの進化でさまざまなことが可能になっています。例えば、カメラを活用した売り場の実態把握では、静止画像で刺し身の切り口を見てAIで鮮度を判定することも可能になってきています。管理強化ではなく、良い事例の共有のためにも、導入が検討できると思いますが、お客さまの購買行動をカメラで撮って分析するのはもう少し先の課題です。

 小売業の皆さまには、営業利益を上げて、それを人材教育やシステム開発・導入など、前向きな投資に回していただきたいと思います。ECの浸透が進み、リアル店舗の売り上げは厳しい時代ですが、ネットとリアルを融合させてトータルで売り上げを伸ばすことも考えられます。