DXツールで粗利益率を向上、在庫を適正化させる
DXツールを使って目指すべき成果は、まず粗利益率の向上です。
価格ニーズは非常に高く価格競争に陥りがちですが、先に述べたように無駄な安売りで粗利を下げないことが重要です。チラシは集客につながる商品に絞って載せ、ディスカウントは絞り込んで単品大量販売することで仕入原価を引き下げます。
値下げ率についても、売れ筋の商品は2割、3割も引く必要はありません。商品特性や時間帯による消費特性によってコントロールして少額を値下げする方が、粗利益率は上がります。
次に目指すべき成果は、在庫データをリアルタイムで把握し、在庫を適正化すること。出ていく部分はPOSで把握できるので、入ってきた時点のデータをどう取り込むかがポイントになります。
これと関連するのが粗利益率の把握です。棚卸しして正確な粗利益率を出すのでは遅過ぎます。疑似的に粗利益率データを見えるようにシステム化することが効果的です。POSに売価は入っているので、ここに原価も反映させれば、レジを通った瞬間に粗利益が算出できます。時間帯やプロモーション売り込み単位で粗利益を検証することも可能になります。
この手法は重点商品の売り込みにも非常に効果的です。ただ、どこにでも売っている商品では価格競争になり利益を上げるのは困難です。生産段階にまで踏み込んで、仕入原価の低い高品質な商品をつくるという、商品開発力が小売業にとって重要になります。通常の粗利益率が25%だとして、35%の粗利益率の商品の売り上げ構成比を10%にすると、全体の粗利益率は1ポイント上がり、大幅な利益アップになります。価格を下げずに売り込む方法は、他にも下の図の項目があります。