マネジャーの役割は仕事の選択と優先順位付け

 品質問題、納期遅延問題、それに伴うコストアップ問題は、結果事象としてはっきりと「問題として認識できる」という意味で分かりやすい例である。メンタルヘルス不調問題も、以前に比べて最近は認識されやすくなってきたわけだが、それらの問題事象の陰で、実はより重要な問題が進行していることを見逃してはならない。

 それは、現場の能力向上(業務改善)が進まないことである。現場の能力向上は、現場の担当者一人一人がその自覚を持って取り組まない限り、高まらない。

 現場を預かるマネジャーには、現場の仕事量を適量に保ち、現場が仕事の成果(いわゆるQCD目標達成)と、現場能力の向上成果(業務改善など)を、ともに得られるようにするマネジメントの責任がある。

 つまり、マネジャーは過負荷状態を放置してはならないわけだ。入ってくる仕事の中身を吟味して、受ける仕事と受けない仕事を仕分けること、つまり、仕事の選択と優先順位付けを行う役割を、マネジャーは自覚する必要がある。