DXからMXへ~デジタルを駆使した経営変革~

MTPを実現するフレームワーク

名和 高司(一橋ビジネススクール 客員教授)/2021.5.31

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※本コンテンツは、2021年3月24日に開催されたJBpress主催「第8回DXフォーラム」Day2の基調講演「DXからMXへ~デジタルを駆使した経営変革」の内容を採録したものです。

一橋ビジネススクール
客員教授
名和 高司氏

2050年を目指す新SDGs、志本主義とは?

 SDGs(Sustainable Development Goals)は2030年をゴールと定めていますが、私は2050年を目指す新SDGs(Sustainability、Digital、Globals)を提唱しています。デジタルの世界では2045年にシンギュラリティに達し、グローバルでは中国が独立100周年を迎える2049年までにアメリカを追い抜こうとしています。さらに、新型コロナウイルスが変化を加速させたことで、10倍速でこれらの未来にたどり着くという説もあります。

 SDGs の「S」を指す「サステナビリティ」は、今後も最重要課題です。現行のSDGsには17枚のカードがあり、その中でも私は18枚目に注目しています。18枚目のカードは白紙で「どんな世界にしたいか」を自由に描くことができます。昨年、トヨタ自動車はハートマークの中に「ワクドキ」と描いた18枚目をつくりました。

「D」の「デジタル」は、今日のテーマです。X(トランスフォーメーション)が主になっていきます。そして「Gs」は「グローバルズ」。現在、米中関係や新型コロナウイルスによる分断で世界はボーダーフルになっていますが、デジタルを使うことで、分断、多極化された世界を再結合できるはず。そこで、あえてグローバルに「s」を付けています。

 私が提唱する新SDGsの中心にあるのが「志(パーパス:Purpose)」です。パーパスは世界でトレンドになっているキーワードであり、今後の企業経営はパーパスを主軸に置く「志本主義(Purposism)」になるでしょう。

 企業は社会価値の創造と自社の利益とのバランスをとる必要があります。例えば、ESGは実行してももうかるわけではないが、実行しなければ大きなリスクを抱えてしまいます。一方、SDGsが示す社会課題は事業機会になり、トップラインを引き上げることができます。しかし丸腰で取り組むと、投資コストがかさみボトムラインが痛む。そこで、マイケル・ポーターがCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)で提唱しているように、社会価値、経済価値のバランスをとりつつ、それぞれを高いところまで引き上げていく必要があるわけです。そのために、デジタルが不可欠です。