フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ会長兼CEO(写真:picture alliance/アフロ)

 フェイスブックが主導する形で2019年6月に計画が公表されたデジタル通貨「リブラ」は、その後「ディエム」へと名称を変更し、現実路線に大きく舵を切っている。元日銀局長の山岡浩巳氏がディエムの最新動向と今後の展望を解説する。連載「ポストコロナのIT・未来予想図」の第37回。

 フェイスブックが主導するデジタル通貨「ディエム」(旧名称「リブラ」)は2021年5月、いくつかの方針変更を表明しました。これは、もともとは「グローバルなデジタル通貨」となることを目指した「リブラ」が、「ディエム」として現実路線への転換を図る動きを象徴するものと言えます。

「グローバル・ステーブルコイン」への強い警戒

 フェイスブックが主導し、2019年6月に計画が公表されたデジタル通貨「リブラ」は、「世界中の人々が国際送金などに使えるグローバルなデジタル通貨」を目指していました。このためリブラは、特定の通貨を裏付けとするのではなく、米ドル、ユーロ、ポンドなど複数の通貨建ての安全資産を100%裏付けとする計画でした。

(C)Diem Association