デジタル化の成否を決めるのは「お金の使い方」

ポストコロナのIT・未来予想図(第34回)

ヒューモニー/2021.5.7

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 新型コロナウィルス感染症に伴う経済への影響を緩和するため、世界的に巨額の財政支出が行われてきているが、各国のデジタル化の度合いは財政状況にどのように影響してきたのだろうか。元日銀局長の山岡浩巳氏(フューチャー取締役、フューチャー経済・金融研究所長)が解説する。連載「ポストコロナのIT・未来予想図」の第34回。

 前回(第33回「コロナ禍をチャンスに!日本はデジタル化の遅れを取り戻せるか」)は、行政のデジタル化への人々の関心の高まりについてお話しました。財政支出の有効性は、「必要とする人やセクターに、どの程度きめ細かく、迅速にアプローチできるか」にかかってきます。とりわけ感染症拡大のような切迫した状況の下では、デジタル技術は財政支出の有効性を大きく左右し得ます。

 では、デジタル化は各国の財政にどのような影響を及ぼすのでしょうか。デジタル化先進国の例などから見てみたいと思います。

デジタル化と財政

 デジタル先進国エストニアを一昨年訪問した際、当局から繰り返し言われたのは、「エストニアにはお金もなかったが、しがらみもなかったことが、デジタル化が成功した鍵だった」ということでした。すなわち、お金がない中では、コストのかかる紙や手作業にもはや頼るわけにはいかないという、いわば「退路を断たれた」状態で、全てをデジタル化する必要がありました。このため、お年寄りも含め、全ての人が楽に使えるインターフェースを真剣に考えざるを得ませんでした。