DXの起点、顧客に「良質な体験」の提供を

「DX調査2020」で見えたDXの課題と克服の鍵(2)

電通デジタル/2021.4.19

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(写真はイメージです/Pixabay)

(加藤 洋平:電通デジタル CXトランスフォーメーション部門 プランニングマネージャー)

 前回の記事「『人材不足、組織の壁』DXの障害に打ち勝つ方法」では、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進上の障壁となる3つの課題(「人材不足」「組織の壁」「経営層の役割」)を挙げ、その中で「組織の壁」を超えてDXを推進するポイントの1つとして、事業部門とIT部門が「目指すべき顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)・カスタマーサクセスの設計」を共有することの大切さを説明しました。

 今回は、CXの変革を起点としたDXのアプローチについて、方法論も交えながらもう少し踏み込んで紹介したいと思います。

なぜ顧客体験(CX)に注目が集まるのか

 まずは、電通デジタルが2020年9月に実施した「日本企業のデジタルトランスフォーメーション調査2020年版」(以下「DX調査2020」)の結果をもとに、顧客体験(CX)の向上、変革のための取り組みの実施状況別にDXの取り組みの成果が出ているかを紹介します。

 下のグラフをご覧ください。CX向上・変革に向けた取り組みに着手している企業の場合、6割を超える企業がDXの取り組みにおいて成果が挙がっていると回答しています。検討を行っていない企業と比べると、約3倍ものスコアの開きがあることが見て取れます。このことは、DXの推進と顧客体験(CX)は切っても切れない関係にあるということを示していると言えます。

Q. 貴社におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組みの成果として、下記の項目において最も合うものをそれぞれ1つ選択してください。
(それぞれ1つだけ)の項目を指数化して算出
(※)ベース:DXに取り組んでいる企業
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 以前から顧客とダイレクトにつながる手段を持ち合わせていた企業では、CRM活動として既存顧客に良質な体験を提供することで、エンゲージメントを高めていくことに注力してきました。

 他方で直接顧客との接点を持たない企業の場合は、マス・コミュニケーションを通じて認知や興味を惹き、新規顧客を獲得する、いわば「狩猟型」のアプローチに頼ってきたと言えます。市場が成長している状況であればこのアプローチも非常に効果的に機能していたのですが、人口の減少に伴う市場のシュリンクや、技術進化によるプロダクトのコモディティ化進行によって、「狩猟型」アプローチだけでは期待する効果が得られにくくなってきています。結果として、獲得した顧客にきちんと定着してもらう、顧客の“ファーミング”(顧客育成への取り組み)に多くの企業が課題意識を持つようになっていきました。