リアルでできたことがリモートではできないのか

 今、職場のマネジメントは「リアルに出社して集まる”場”」と「テレワークやWeb会議などのリモートの”場”」の双方で必要になっている。こうした状況に直面したマネージャーの中には、リアルでは当たり前のようにやっていたことが、リモートになるとやりにくくなったと考える人もいるが、本当にそうだろうか。これはリモートになって以前から抱えていた課題が浮き彫りになっただけではないのか。

リアルな場面において、
・会議は本当に活性化していただろうか?
・若手社員が遠慮なく自分の意見を発言していただろうか?
・部門間や会社の壁を越えて建設的な意見をぶつけ合い、課題解決を図っていただろうか?
・計画段階においてチームで困り事を相談し合い、知恵を集め、助け合っていただろうか?
・チームの中で基礎的な情報が共有され、お互いに関心を持ち、関われていただろうか?

 これらは、リアルかリモートかは関係がない、より強い「職場」を目指すための課題である。

 仕事が複雑化しやるべきことが増える中で、分業化が進み、個人個人の仕事が分断され、隣の人の仕事も見えなくなってしまっている。それぞれの仕事の進捗スケジュールを、カタチだけ共有するだけになり、お互いの関心が薄れ、共有する機会が減る。残業抑制の流れの中で、チーム全員で集まる時間を取ってもらうのも抵抗がある。

 これらが、いつしか物理的・心理的な孤立を生み出し、本来、職場が持つ知恵や経験、助け合いや協力の力を発揮できなくしてしまった。それゆえに、職場の生産性を押し下げ、結果だけの管理、事後に把握するだけのマネジメントを生み出しているのだ。

 リアルの場でできていないことはリモートの場でも、当然できない。リアルか、リモートか、などの手段や手法を論じる前に、「職場力」を発揮できる本質的な「場」の創出が求められている。