グランドデザインを描くための3つの側面

 ものづくりのグランドデザインを考えるにあたり、日本企業の強みである組織力や個人の英知を活かし、以下のポイントが重要なテーマとなるだろう。

■戦略側面
①模倣不可能性が高いビジネスモデルの再考
②製品と工程を同時に見直し、高いレベルでつくり込む
③同時にマス・カスタマイゼーションにも対応可能なものにしていく
④今回を機にサプライチェーンの再考(戦略的アウトorインソース活用)
⑤自社・自工場のオペレーション向上だけでなく、付加価値を上げるDX化・スマートファクトリー化の推進

■プロセス側面
④製品群を対象にMFD(Manufacturing For Design:商品性を実現する生産技術・生産)の実現
⑤上記と同時にDFM(Design For Manufacturing:生産容易性設計)の実現
⑥MFDとDFMを行いながら、製品と工程のモジューラー化、共通化の実施
⑦現場の強さを活かし、継続的改善にて生産性・品質などオペレーションレベルの向上とDFM的フィードバック

■基盤面
⑦難しいテーマでも問題・課題解決ができる人材の育成
⑧自ら考え抜き、挑戦を行う風土と仕組みづくり

 日本はDXに遅れをとっているといわれているが、フィジカルなものづくりは得意である。得意分野を極限追求しつつ、さらにデジタルを手段として活用していくこと、そのデザインをゼロベースで行っていくことがグレート・リセット時代に必要ではなかろうか。

 次の躍進のために、今こそ。

コンサルタント 石田秀夫(いしだ ひでお)

取締役 生産コンサルティング事業本部 本部長 
シニア・コンサルタント

大手自動車メーカーに入社し、エンジニアとして実務を経験。生産部門および開発設計部門のシームレスな収益改善・体質改善活動を支援。事業戦略・商品戦略・技術戦略・知財戦略を組合せた「マネできない ものづくり戦略」を提唱し、次世代ものづくり/スマートファクトリー化推進のコンサルティングに従事している。