Withコロナ・Afterコロナで行うべき打ち手
■リーマンショックから学ぶ、危機下の過ごし方
Withコロナではコスト低減やBCP、感染予防対策などが必要となり、売上・生産量の前提が変わってきた中で、いかにこの厳しい時代を乗り越えるかという施策が重要である。
ただし、足元の打ち手だけに振り回されていると、将来観点から考えると強い会社にならない。よって、比較的時間のあるWithコロナの時代だからこそ、強い会社にするための投資(時間的・人的なもの)や体質改善が重要である。
このような経済的危機は、記憶の新しいところで「リーマンショック」がある。このリーマンショック時とその後を見て、われわれのクライアントでも、「実質冬眠型」と「改革・改善投資型」の大きく2つのパターンがあった。当然のことながら、次の成長の準備として「改革・改善投資型」の方がその後の成長や競争力を高めている。
■Afterコロナにおける「ありたい姿」
Afterコロナでは、品質・コストなどのさらなる競争力向上は基本として継続しつつ、「さらには」という観点でビジネスの領域や定義、ビジネスモデルの見直しを行い、付加価値向上と社会価値貢献を目指していくべきである。
コストで勝負するだけではなく、模倣が難しい製品の生産・ビジネスモデルを構築することは、付加価値の向上として有効である。また、商品・生産に、社会貢献や環境貢献などの意味を持たせることも重要であろう。
当然、今回の危機で学習したサプライチェーンが止まらないようにするリスク回避も目的となる。そのための打ち手として、ものづくり(開発設計~生産)の戦略見直し、ものづくりのデジタル化・スマート化の加速、改革・改善力を向上させるための人材育成、新しい働き方の構築などが必要になるだろう。特に新型コロナを機会にデジタル化・スマート化のハードルは下がり、さらに加速すると考える。
また、前述したDX化の推進も必要であるが、戦略としては、日本の強みを活かしたハードや擦り合わせの技術などを活かすことが競争力強化につながる。製品と工程のアーキテクチャの見直しを同時に行って、商品と工程を一気に刷新するなどの積極的なアクションが強みとなるだろう。
■危機を機会に「ものづくり改革」で競争環境をリセット
このデジタル化・スマート化を進めるためには、事業やものづくりを将来どうしたいか、もしくはどうするべきかを考え、サプライチェーン全体を捉えた「ものづくり改革」と広く捉えることが、大きな成果を得るために大切であると考える。
一方で「それではスピード感がなくなる」という指摘もあるだろうが、抜本的な改革であれば周到なグランドデザインをした上で具体的な活動に展開した方が手戻り少なく、「急がば回れ」になるのである。この「冬」の期間に深く広くグランドデザインを考え、次の成長に活かすという準備が今こそ必要である。
よって、DX化のみならず、製造業自体のトランスフォーメーション(CX、PX)、そしてものづくり自体のトランスフォーメーション(MX)が必要であり、今こそ本質的にリセット・検討・着手する良い機会ではないだろうか。