ボッシュ、P&G、アマゾンが挑むAI時代の業態変革

現状維持は衰退、CES 2020に見る企業の「なりわい」革新

朝岡 崇史/2020.2.14

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 ボッシュは自動車製造の分野で長くTier 1(1次下請け)の自動車部品製造で培ってきた強みを活かして、自動運転の分野でも世界で6つに大別される勢力圏のうち、「エヌビディア陣営」と「VW/アウディ陣営」においてサプライヤー企業として入り込んでいるほか、自動運転のプラットフォーマーとしても虎視眈々と下克上のチャンスを窺っているのが印象的である。

(参考)「CES2020が告げた『自動運転』新戦国時代の到来」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59107

CES 2019に続きCES 2020でもポッド型の自動運転車のプロトタイプを出展したボッシュ(筆者撮影)

 また、ボッシュは(日本ではまだなじみが薄いものの)ヨーロッパではキッチン家電や掃除機のメーカーとしても知られている。

 CES 2020でボッシュが展示したのは内部にAIカメラを装備したスマート冷蔵庫のプロトタイプである。冷蔵庫とAI機能の組み合わせはサムスンのBixbyやLGのThinQなどCES 2018あたりから提示されていたが、それらは人間があらかじめ冷蔵庫内に収蔵する食材を登録する必要があった。今回、ボッシュが出展したものはAIカメラが庫内の食材を自動で識別して(現段階では原理検証レベル)、さらにスマートフォンのアプリを通じて庫内の食材を使って調理可能なレシピを提案してくれるというものである。

CES 2020でボッシュが出展し注目を集めたスマート冷蔵庫。庫内の食材をAIカメラが判別し、スマホのアプリ経由でレシピ提案をしてくれる(筆者撮影)

 AIによる画像認識は自動運転におけるADAS技術(先進運転支援システム)などとの汎用性が高いことも予想されるが、ボッシュの打ち出しは過去のAI搭載をうたった、名ばかりのスマート冷蔵庫とは一線を画しており、スマート家電でもボッシュ・ブランドの存在感が際立ってくることが予想される。

 中国が景気減速モードに突入し、欧米でも厳しい環境基準が設定される中、自動車の製造台数が今後下降トレンドに入ることは否めない。ボッシュは中長期的に「自動車の部品製造業」から「生活全般をスマートにするIoT機器の製造業」(自動運転車も含む)へ「なりわい」の軸足を移そうと真剣に考えているのだろう。