家電メーカーや住宅メーカーが提案するスマートホーム

 そんな中、パナソニックが住宅を単なる「製品」ではなく、もう一人の家族として捉え、生活者に合わせた「サービス」まで提供する「HomeX」の提供を開始した。暮らしの統合プラットフォームとして提供されている「HomeX」は、「HomeX Display」と呼ばれるタッチスクリーン型ディスプレイを住宅内の生活ポイントとなる各壁に設置し、家電機器や照明等と連動して操作することが可能だ。そうして住む人の生活スタイルを学習したAIが、毎日のシーンに合わせた提案をしてくれるようになる。

 例えば、キッチンでは家族の構成に合わせたレシピを提案したり、洗濯時には洗濯物の汚れ具合に応じて洗い方や洗剤の提案をしてくれる等、住宅が住む人に寄り添ってサービスを案内してくれるのが特徴だ。

デザインシンキングのプロセスサイクル(参照:Panasonic Homeの公式サイトより)
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 また、シャープはAIoT家電*1や「COCORO+」アプリ等と連携し、利用者の生活習慣をAIが分析・学習して提案するサービス「COCORO HOME」の提供を開始した。AIとIoTをプラスすることで、対応家電を利用者の生活スタイルに合わせてパーソナライズする。

 さらに、毎朝の行動をAIが学習して、家電の一括操作を提案してくれる。例えば仕事へ出かけるときに「テレビとエアコンのスイッチをOFFにして、照明を消して、ガレージのシャッターを閉める」といったような行動をとっていた場合、利用者の生活習慣を学習したAIが、ボタン1つで全てをOFFにできるよう提案。自宅へ帰ってくるときは、外から操作してエアコンだけをONにしておくことも可能だ。

 さらにCOCORO HOMEのプラットフォームを開放することで、他社メーカーの機器やサービスと連携できるようになる。シャープは、2020年までに機器メーカーやサービス会社等合計でおよそ50社との協業を進めていくと発表した。名乗りを上げたのはセコム、KDDI、関西電力等。業種を超えてセキュリティー対策、通信、電気代に関連したスマートサービスの提供やスマホアプリでの一元管理等が期待できる。

 例えば、現在でも「auでんき」のスマホアプリを使えば、1日あたりの電気使用量や電気代をチェックできるが、COCORO HOMEと連携し、より効率的な家電製品の使い方を提案してくれるようになれば、消費電力の削減も可能になるだろう。

*1 AIoT=「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」と「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」を組み合わせた、シャープの造語。