投資対象が主にETFであることについて。ETFは「投資の楽しみを体感できる「隠れた優れもの」ETF」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53887)で取り上げています。さまざまな指数に連動することをめざして運用され、それぞれが上場している投信です。
ETF最大の特徴は透明性の高さと運用コストの低さにあります。連動をめざす指数は任意で設定・採用できるので、理論上はあらゆる国・市場に投資するETFを組成できます。ETFならグローバル分散投資を比較的簡単かつ低コストで実現することができるわけです。
投信が商品ラインナップから外れている理由
一方、資産運用の中核商品といわれる投信がほとんど採用されていないことが気になるかもしれません。その理由は明確で、個別株式やETFと、一般の公募投信とでは取引・決済システムがまったく別なものだからです。上場商品である個別株式やETFは、市場が開いている時間は時々刻々と価格が動きますが、投信は当日の(基準)価格は1つだけ。コスト体系も違っているので、投信を採用するとなると、もうひとつ別なシステムが必要になるのです。
一般に、東証に上場している商品であれば同じ取引・決済システムで取り扱うことができます。同じシステムで個別株式やETF、リート(不動産投信)などが提供可能になるので、拡張性をもった商品ラインアップが実現できます。
コストをかけて投信を扱うシステムを加えるのか、個別株式やETFなどでユーザーの期待に応えることができるか。それらを勘案した結果、投信を扱う優先度が下がっているのです。
今後の成長性は現状では未知数
スマホ証券はAIベースのロボアドを推す金融ベンチャーが、新しい投資チャネルや投資家層を創出しようという動きです。企業としての今後の成長性は、期待はされつつも現状では未知数といえます。証券会社選びにあたっては、企業とサービスの継続性に十分な注意が必要でしょう。ちなみに証券会社が破綻した場合、法律で定められた「分別保管」と「投資者保護基金」によって、個人の投資資金は1000万円を上限に保護されます。
スマホ証券では、基本的にロボアドが提案するETFによるポートフォリオに投資することになります。投信ではありません。筆者はETFの商品性を高く評価していますが、スマホ証券での投資においては自分がどのような市場にいくら投資しているのか把握しづらくなる可能性があります。この点にも注意が必要です。
東証に上場している企業は3600社超、ETFは約200銘柄、リートは60銘柄超。さらにいつでも売買できる投信は5600本以上あります。しかしこれらのうち、投資に値する商品は一般に1~2割といわれています。合理的な理論で投資先候補を絞り込んだスマホ証券のポートフォリオ提案は、投資家の迷いや選別作業の時間を最小化する効果が期待できるでしょう。これから「投資を経験してみたい」という方にとっては、最初に検討してもよいサービスだと思います。