相対的に高い配当利回りと好調な不動産市況

 このところJリートの運用実績が好調な理由はどこにあるのでしょうか。よく知られている理由として2つを挙げることができます。

 ひとつは、利回りの相対的な魅力。世界的な景気減速懸念によって内外の長期金利が低下しています。そこで、前述の分配金利回りの魅力が相対的に高まりました。もうひとつは、不動産市況です。オフィス空室率の低下や平均賃料の上昇に加えて、2019年公示地価の全国的な回復傾向が鮮明になっています。

 実際にJリート市場へのお金の流入も増えています。QUICK資産運用研究所の調べによると、Jリートに投資する投資信託(リート投信)における設定額から解約額を差し引いた金額は2019年3月末時点で361億円の「流入」でした。ちなみに、株式投信(ETFを除く追加型)全体では778億円の「流出」でした。リート投信への流入額は2月の28億円から大幅に増加しており、これで4カ月連続の流入です。

理由のひとつは「シャープレシオ」の高さ

 さらに詳しく見てみると、Jリートとの今後の付き合い方のヒントがありました。日本経済新聞の調べでは、Jリートの好調な運用と資金流入の主役は「海外投資家」だったといいます。2018年度の買越額(ある銘柄の売買金額のうち、売り金額より買い金額の方が多い場合の金額)は3796億円で前年度の2.3倍で、過去最大だった2006年度(4508億円)に次ぐ規模とのこと。海外投資家は2019年3月まで7カ月連続で買い越している模様です。

 海外投資家がJリートを買った大きな理由のひとつが「シャープレシオ」の高さ。シャープレシオとは、リスクに比べてどれだけリターンを得られるかを示す指標で、運用益を相場変動率で割って算出します。シャープレシオが高いということは、価格変動率(リスク)が低い割に高い収益が得られたことを意味します。そのシャープレシオが主要国のリートのなかで日本が最も高く、他の投資対象と比べても高くなっているようです。

 日本で買えるすべての投信を対象に、2019年3月末までの1年間におけるシャープレシオのランキングを見ると、上位20本のうち14本が国内REIT型となっています。同じく3年間のランキングを見ると国内REIT型は1本も入っていません。つまり、ここ1年程度のうちにリート投信のシャープレシオが大きく向上したと思われます(モーニングスター調べ:http://www.morningstar.co.jp/FundData/FundRankingSharpRatio.do)。