もちろん組み合わせによるのでしょうが、コア資産で安定的に資産形成を図っても、リスクを取ったサテライト資産のパフォーマンス下落がポートフォリオ全体の資産価値を大きく下げるようなら、コア・サテライト戦略は成功とはいえません。

 FP(ファイナンシャルプランナー)や識者のなかにも、コア・サテライト戦略不要論を唱える人がいます。サテライト資産として考えられている金融商品が比較的高コストであることから、金融機関の都合のいい理屈なのではないか、というのが主な指摘です。

 コア資産にインデックス投信をもつのは、(1)インデックス運用の手数料が安い、(2)アクティブ運用が平均的にはインデックス運用に勝つのが難しい、(3)複数のアクティブ運用を組み合わせるとインデックス運用に似てくる現象がある――などの理由によります。だったら100%インデックス投信でよいだろうというわけです。

ずっと合理性を追求できるか

 長い老後に備えるための資産運用でいま、なすべきことは何でしょうか。極めて合理的にリスクと対峙することです。海外を含めた株式投信の過去の実績では、長期間の運用なら年率平均5~7%くらいのリターンが期待できることはわかっています。しかし、いついくらの収益を得ることができるのかは、明確にはわかりません。その現状のなかでいまできることは、できる限り低コストで的確な市場へ参加することでしょう。

 コア・サテライト戦略そのものが非合理というわけではありません。コア資産もサテライト資産もインデックス投信やETF(上場投資信託)のようなパッシブ運用の商品であれば、より合理的になり実践を検討する価値が高まるということです。