ベンチャーの活用への大きなうねり

 COFACEレポート「フランスはベンチャーに適した国か?」のコラムからフランスエンジェル副会長、Tanguy de la Fouchardière氏のインタビュー記事を拾ってみた。

Q:フランスにおけるベンチャー発展の最大の阻害要因は何か?

A:『Baromètre France Angels/BFM Business en 2014』誌に対する回答者の半分のエンジェル投資家(Business Angels)にとって、経営の不安定さが投資の主要な阻害要因となっている。その次に、経営者の可視性の欠如および金融チェーンにおける不十分な流動性(例えば、エンジェルと投資ファンドの間の流動性が不十分なため、リレー投資が上手くいかない)が挙げられている。その改善策としては、次のことが言われている。投資家(すなわち、エンジェル投資家とベンチャーキャピタル)の再編促進。投資活性化のために中期的に安定した経営者の任命。

Q:IT分野が投資の主要分野なのか?

A:デジタルとエンジェル投資家はイノベーションの中心である。デジタルは明日をリードする産業には不可欠な構成要素であり、国境がなく、ますますグローバル化した経済において重要性を増してきている。競争力強化はイノベーションなくして語れず、イノベーションは投資なくして語れない。フランスエンジェルに加盟するエンジェル投資家は、狭義のデジタルの世界と関連性を有している(2013年で年間投資額の60%)。つまり、エンジェル投資家は投資家である以前にイノベーションの同伴者である。そして、イノベーションはもはや先進技術という概念だけに要約されるものではなく、今日では利用のイノベーションやプロセスのイノベーションという概念に取って代わられている。

Q:貴職のお目に留まるには、若い起業家は主としてどのような特徴を備えていなければならないのか?

A:エンジェル投資家に評価される主要な基準は次のとおり。
 (1)狙う市場と市場規模
 (2)提供する付加価値およびイノバティブな特徴
 (3)ビジネスプランの信ぴょう性
 (4)チーム構成
 (5)成長の見通し
 (6)エンジェル投資家にとっての機会
 エンジェル投資家はビジネスプラン事業化の初期に投資をするが、その際ビジネスプランはまだ未熟で、ビジネスモデルは進化する可能性がある。このようなリスクを取ることが、エンジェル投資家の投資の難しさを物語る。

Q:クラウドファンディングとの競合はあるのか?

A:クラウドファンディングとエンジェル投資家は、競合というよりはむしろ補完関係にある。クラウドファンディングのプラットフォームは、ベンチャー企業に投資しようと思っている個人に新たな可能性を提供する。それはまた、エンジェル投資家との共同投資の新たな形態を提供することができる。実際、クラウドファンディングの対象は、エンジェル投資家の投資対象とはいつも同じわけではない。エンジェル投資家は高い専門性を持ち、イノベーションを対象とし、むしろB-to-Bのビジネスモデル向きである。逆にクラウドファンディングに投資をする個人は専門性があるのはまれで、投資決定をする前にベンチャー企業が提供する製品ないしサービスの潜在的顧客であることが多い。このように、クラウドファンディングは、エンジェル投資家が狙うベンチャー企業とは異なる企業に投資する。