また、別のコラムでは、リアルオンタイム広告業のベンチャー企業CTO(Vincent Lepage, Chief Technology Officer, AlephD)のインタビューが取り上げられている。
Q:フランス人はリスクを恐れるとの評があるが。
A:私はフランス人のリスクに対する嫌悪感がまだ強いとは思わない。優秀な大学の学生たちは、今日、大銀行や大企業で働くよりも次のフェイスブックを創設することを夢としている。失敗を、履歴書において通常の、そしてまた成長のためのステップとして受け入れることが障害を排除することになる。
Q:フランスの環境は貴社の発展に適していると思うか? 貴社を海外移転しようとは思わないか?
A:シリコンバレーと比較してそんなに高くない給料とか、競争力のおかげで、フランスの環境はむしろ良い。しかしながら、我々の市場はフランスではないので、欧州、そして米国へと急速に市場を開拓していかざるを得ない。2015年には売上の70%以上が輸出となろう。しかし、R&Dおよびテクノロジーの中心は、ITおよびデータサイエンスに関して、人材採用に最も有利なフランスに残すこととなろう。
これらのインタビューでは、日本でもよく話題に上る、若者の大企業志向からの決別の動きやグローバル市場を目指す“Born Global”の発想、そして失敗力の活用の有用性が読み取れる。フランスにおいても、大企業一辺倒からベンチャーの活用へと、大きなうねりが始まっていると言っていいのではないだろうか。
他方の投資する側については、業界再編への期待とクラウドファンディングの勃興、ベンチャー企業の安定した経営陣への期待が読み取れる。同じような段階で憂鬱から抜け出そうとしている日本としても、その動きは大いに参考になるのかも知れない。