会場に再現された商談スペースのチェアは、座った者の心拍数が測定できる機能を内蔵している。心拍データの変化からストレスの度合いをチェックすることにより、その人の集中度・関心度を知ることが可能だという。さらにデスクには指向性マイクを設置して、商談中の音声データの解析から人の感情の動きを可視化する機能を付加。以上のような多様な測定/分析技術の活用で、働く空間の快適さや生産性向上を導き、働き方改革を実現しようという試みが紹介された。

 会場内では他にも住空間の温度・湿度・ニオイ・有害物質濃度を測定して見える化するセンシングユニットや、「食事を美味しくする空気」をテーマにしたコーナー、オフィスビルのエントランス等にも用いることが可能な花粉除去ブース等々、約20のアイデアが披露された。

アジャイル開発で目指す「空気のイノベーション」

 一般公開に先立って行われたプレス説明会の席で、ダイキンの空調営業本部を率いる舩田聡常務執行役員は、以下のように語った。

「これまでダイキンが開発する製品の多くは、開発部門の人間がアイデアを出し、自分の手で形にしていました。しかし、実際の市場やお客様とダイレクトに接しているのは営業部門のメンバーたち。ですから今、彼らには自分たちがマーケターなのだという意識を強めてもらい、どんどんアイデアを出していける体制を整えています。

 今回展示している20の試作品やアイデアも、部門の垣根を越え全社レベルで社員から募ったものから選び抜きました。これらすべてを製品化するとは限りませんが、CEATECという貴重な場で披露することにより、多様な来場者の方々から意見を聞き、反応を見ることができます。