1本の投信で元本割れを避けながら、そこそこのリターン(年率5%程度でしょうか)を期待し続けるのは現実的ではありません。結果そうなったとしても、それはギャンブルと変わりません。1本の投信ではなく、投資資金全体として元本割れの可能性を極力低くする方法を考えましょう。

 あくまで一例ですが、損失限定型投信の株式の組み入れ比率は10~20%なので、資産の80~90%を個人向け国債に投資して、残りをインデックス投信に投資すると、損失限定型投信に近い運用ができます。損失限定型投信の信託報酬などは1%程度。一方個人向け国債のコストはほぼゼロ、インデックス投信は0.2~0.4%程度なので、コストは損失限定型投信より低くなります。

人気の理由が自分の資産や志向とフィットするか

 この例では分散投資になりますが、正直なところ、分散投資は面倒です。「勉強などの手間をかけるのは嫌だけど、銀行預金もしくは個人向け国債プラスアルファのリターンを期待したい」という人は損失限定型投信を検討する価値があると思います。しかし、運用期間が長くなればなるほどあらかじめ払うコストが複利で効いてくるので、将来のリターンにマイナスの影響を与えてしまうわけです。

 要は、投資目的(ゴール=いつまでにいくら得たいか)のために、自分の手間とコストのどちらを費やすかということです。

 別項(「長期運用の投資信託を選ぶための基本的な考え方」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53067)でも紹介しましたが、投信にははやりすたりがあり、時代によって資金を集める商品が繰り返しつつも変わってきます。損失限定型投信などの商品がなぜいま、人気を集めているのか。その理由を調べて、自分の資産や投資スタイル、リスク志向にフィットするかどうかを探ること。これが、人気に惑わされないで合理的な資産形成を実現するコツといえます。