想定よりも期待リターンが得られない可能性も

 注意したいのは、損失限定型も元本確保型も「元本保証」ではないということです。損失限定型は文字通り損失が限定されるだけ。元本確保型でも安定運用の投資対象である債券の発行体が破綻した場合や、信託期間が決められている単位型投信で運用が不調なときに中途解約すれば、損失につながる可能性があります。

 本当に元本割れを避けたいのであれば、銀行預金か個人向け国債しかないのが現状です。

 一方の期待できるリターン(収益)はどうでしょうか。リスクはリターンの源泉であるという原則によれば、価格下落リスクを限定している以上、自分の思ったようなリターンが得られない可能性があります。元本割れを恐れるあまり、損失限定型や元本確保型に偏ったバランスで投資を続けていると、期待したリターンを得られない結果を招きかねません。

低コストで損失限定型投信に近い運用の例

 損失限定型や元本確保型の投信は、どうしても運用の仕組みが複雑になってしまいます。先物取引を使ったり、海外の運用会社や拠点に運用を委託したり。結果として投資家が負担する運用コスト(主に信託報酬)が相対的に高くなる傾向があります。

 投資家が負担するコストも引き受けるリスクも、それに見合ったリターン(収益)が期待できるなら、何の問題もありません。納得して投資すればいいだけです。しかしながら、現実はそうではありません。とくにコストは、金額の高低と期待リターンの間に正の相関があるとは考えにくい、というのが現在の一般的な見方です。