北朝鮮の弾道ミサイル発射を伝える韓国のテレビ(4月23日ソウル駅で、写真:AP/アフロ)

 北朝鮮の核・ミサイル開発を禁じる一連の国連安全保障理事会(安保理)決議に基づき制裁違反の有無を調べる専門家パネルの任期延長が、ロシアの拒否権行使によって2024年4月30日で切れ、活動が終了する見通しだ。

 これまで、国際社会は北朝鮮の核兵器開発に歯止めをかけることに主眼を置いてきた。

 それにもかかわらず、北朝鮮はすでに核・ミサイルの戦力化をほぼ実現し、その使用を正当化する政策転換を行った。

 この現実を踏まえるならば、対北朝鮮政策・戦略は核兵器の「開発阻止」から「使用阻止」へと大胆な転換を図らなければ、我が国のみならず、日米韓3か国の安全保障・防衛は重大なリスクに曝され続けることになろう。

北朝鮮の核兵器開発阻止に失敗した国際社会

 国連安保理は、北朝鮮が初めて核実験を行った2006年以降、2017年までに11本の決議を全会一致で採択し、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル開発に加えて、北朝鮮への原油などの輸出を禁じた。

 その違反の見張り役として2009年に発足したのが専門家パネルであり、以来、15年間にわたって活動してきた。

 その任期が4月30日に切れることから、国連安保理では1年間の任期延長を求める決議案が提出された。

 しかし、北朝鮮との軍事協力を深める常任理事国ロシアが拒否権を行使した。

 逆に、ロシアは対北朝鮮制裁に関する「制限範囲の更新は安保理が決定する」とした独自案を提出したが、拒否権を持つロシアが制裁を解除できる内容となっていることから、採決の見通しは立っていない。

 これまでの間、北朝鮮は6回の核実験に加え、弾道ミサイルの発射を繰り返し、核・ミサイルの開発推進及び運用能力の向上に注力してきた。

 専門家パネルの活動が終了しても、安保理制裁は存続するようであるが、中露両国は2022年5月、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を受けて制裁強化を求めた米国の決議案に拒否権を行使するなど、安保理の機能不全は明らかだ。

 結局、国連/国際社会は、北朝鮮の核兵器の開発阻止に失敗し、北朝鮮は制裁をくぐり抜けて核・ミサイル開発・戦力化を進展させたのである。

 他方、イランの核開発の可能性も懸念されている。

 このように、今後の国際社会では、さらに核兵器の拡散傾向が強まるとともに、東西冷戦期のように、米中露の大国間競争に伴う核開発競争が再燃する危険性が高まっている。