ナーシリーヤの戦闘で撃破された海兵隊AAV-7(写真:米海兵隊)

 世界中いかなるところで発生する軍事紛争といえども、日本の安全保障のために日本自身が直接関与しなければならない事態は今後ますます増加するであろう。

 オバマ政権下のアメリカが世界の“警察官”ではなくなってしまっている現状では、安倍政権が推し進めようとしている「金だけ出すのではなく、後方支援活動に限定するとはいえ自衛隊も積極的に派出する」という方針は正しい方向性である。

「後方支援」というマジックワード

 ここで「後方支援」と呼ばれているのは "combat service support" という軍事英語であり、日本の軍事用語としては「戦務」と訳される。しかしながら、「戦務」では戦争あるいは戦闘を想起させてしまうと考えたためか、「後方支援」という政治的訳語がつくり出された。これによって、あたかも“戦場の後方の安全地帯での活動”といったニュアンスを醸し出すことに成功している。

 ただし、「後方支援」と訳そうが「戦務」と訳そうが、 "combat service support" という軍事用語であることには変わりはない。その内容は「補給」「整備」「輸送」「医療」といった直接戦闘に関与しない活動である。