(川上 敬太郎:ワークスタイル研究家)
さまざまな場面で問題視されてきた「老害」
放送作家の鈴木おさむさんが著書の中で、自らの存在が“ソフト老害”になっていると認識し、引退を決意するきっかけになったと告白したことが話題になりました。
老害というと高齢者を思い浮かべますが、鈴木おさむさんはまだ50代前半のミドル層。にもかかわらず、老害の加害者になり得るという主張に、衝撃を受けた人も少なくなかったのではないでしょうか。
これまでにも、老害はいろいろな場面で問題視されてきました。職場では高齢の上司や社員が、「自分たちはこうだった」などと過去の経験を語って若手にも同じように振る舞うことを押しつけたり、突然「こんなピンチに追い込まれたけどチャンスに変えた」などと、頼んでもいない武勇伝を得意げに語り出して疎まれたりといった具合です。
政治の世界などでも老害化した高齢議員が権力の座に居座り、キングメーカーなどと呼ばれて最高権力者を含めた人選を意のままに操るようなイメージがあります。
また、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長だった森喜朗氏が、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」という趣旨の発言をしたとされる件はジェンダーハラスメントなどと問題視されましたが、こういった一方的な決めつけも老害と言われるかもしれません。
老害の被害者は、基本的に若手です。何日も考え抜いた末にようやく出したアイデアを提案しても、経験豊富で実権を握る高齢者から「これじゃダメだ。こうした方がいい」と鶴の一声で却下されてしまうと無力感に打ちひしがれます。また、事あるごとに「いまの若い奴は」と説教されたりすれば、辟易としてしまいます。