強いパイプで結ばれた予備校と医学部

 Fさんは、大学の医学部ともつながりがあった。医学部が受験者数を増やすためにどんなPRをすればいいか、コンサルを頼まれることもある。

「医学部のオープンキャンパスで、予備校の講師がお話をさせていただく機会があります。大学側は予備校を通じて受験者を一人でも増やしたいし、予備校は大学の情報が欲しい。お互いの思惑が重なり、医学部と予備校は強いパイプで結ばれています」

 そんな時、親しくしていたとある医学部の教授から、病院の夜間受付の仕事を紹介された。日給は2万円で、週1で入ると月8万円の収入になる。

「もうサラリーマンではないので、お金を得られる手段を一つでも増やしたいと考えていました。だから、深夜の仕事にもためらいはありませんでした」

 求人サイトでは「病院の夜間・休日受付」「救急外来夜勤」などの名称で募集が出ている仕事だ。勤務時間は夕方から翌朝、時給は1500円前後が多く、一晩で1.5万~2万円の報酬になる(東京都内の場合)。

夜間の救急外来は戦場だった(写真:アフロ)

 Fさんが紹介されたのは、病床数100床ほどの中規模病院。深夜帯は医師1名、看護師10名、事務員3名という体制だ。Fさんの勤務は20時~翌朝6時までで、30分の仮眠タイムが3回くらいあるという。

「私の役割は、救急車やマイカーでやってきた急患を病院内へ誘導することです。特別なスキルは必要ありません」

「すっごく暇だから」と言われて、夜勤を引き受けたFさん。しかし、副業をはじめて3カ月後に予想外のことが起こる。

「コロナ禍が始まったんです」