(写真:共同通信社)

(柳原 三佳・ノンフィクション作家)

 ビッグモーターによる保険金不正請求問題を受け、金融庁は同社の保険代理店登録を11月30日に取り消す方針を固めました。国土交通省もすでにビッグモーターの整備工場に抜き打ちの一斉検査を実施し、自動車整備事業停止などの行政処分を下しています。整備事業に次いで保険販売も停止されるとなると、中古車販売会社としての業務の存続はかなり厳しいものとなるでしょう。

 一方、不正行為を認識しながらビッグモーターとの取引を再開し、契約者の車を同社の整備工場に入庫誘導していた損保ジャパンに対しても、金融庁は9月に立ち入り検査を実施。11月には親会社であるSOMPOホールディングスに対しても、保険業法に基づく立ち入り検査を開始しており、今後の動向が注目されます。

さいたま市にあるビッグモーターの店舗で行われた国交省の立ち入り検査の様子(写真:共同通信社)今年7月、さいたま市にあるビッグモーターの店舗で行われた国交省の立ち入り検査の様子(写真:共同通信社)

事故車入庫の見返りに「利益が発生しない」自賠責の契約をもらうバーター

 さて、筆者はJBpressにおいて、7月、今回の問題が起こったそもそもの「根源」について、以下の記事を発信しました。

(参考)損保は被害者なのか?ビッグモーター問題の根源に「自賠責の粗利の高さ」の声 実は損保に「おいしい」自賠責引き受け、そこに修理業者との「癒着」の可能性

 自賠責の社費(損保会社に支払われる手数料=営業費や損害調査費など)は、どの社においても、契約1件当たり5056円となっており、業界全体で見ると年間2000億円超。上記記事では、自動車業界に詳しい専門家が、「自賠責保険の契約を取ることは、損保会社の利益につながっている」という指摘をしたのです。

 自賠責保険は国が法律で加入を義務付けている被害者救済のための対人保険です。「ノーロス、ノープロフィット」といって、赤字も黒字も出さないことになっており、建前上、この保険による利益は発生しないことになっています。

 ところが、すでに報じられているとおり、損保ジャパンはビッグモーターに事故車を1台入庫する見返りに、自賠責保険の契約を5件もらうという「バーター取引」を行って契約を獲得していました。