(写真:ロイター/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムは11月8日、米国で有料プログラム「Prime(プライム)」の会員向けにサブスクリプション(定額課金)型の診療サービスを始めると明らかにした。2023年2月に買収を完了した米ワン・メディカル(One Medical)のサービスをPrime会員に提供するもので、通常サービスよりも割安にする。

買収したOne Medicalのサービス、Prime会員に

 ワン・メディカルのサブスクに加入すると、24時間365日の遠隔診療を受けられる。これは全米規模で展開し、何回利用しても追加料金がかからない。このほか、別料金を払えば、ワン・メディカルが運営する診療所で対面の診療を受けられる。また、専用アプリを通じて処方箋の管理や医療従事者とのメッセージのやり取り、診療後のフォローアップサービスなども受けられる。

 利用料金は月9ドル(約1360円)、または年99ドル(約1万4960円)。ワン・メディカルの通常年会費は199ドルなので、年最大100ドルの節約になるとアマゾンは説明している。

 Primeの米国での料金は、月14.99、または年139ドルだ。ワン・メディカルの診療サブスク料は、これに追加して支払うことになる。

 Amazon Health Services(アマゾン・ヘルス・サービス)上級副社長であるニール・リンゼー氏は「必要なケアが受けやすくなると、人々はより健康に取り組み、より良い結果を実感できるようになる。だからこそ当社はOne Medicalの素晴らしい体験をPrime会員に提供する」と述べた。

 一方、英フィナンシャル・タイムズは、アマゾンが複雑な米国の医療システムを変革するには、現在の顧客中心的な事業展開を越えた取り組みが必要になるだろうと報じている。

 米アマゾンは22年7月、米国でサブスク型の診療サービスを手がけるワン・メディカルを、総額約39億ドル(当時のレートで約5300億円)で買収すると発表。買収手続きは23年2月に完了した。ワン・メディカルは、初期診療(プライマリーケア)を対面やオンラインで受けられるサービスを提供している。全米25市場で約190の診療所を運営しており、76万7000人の個人会員と8500社の法人顧客を持つ。