広いテラスは「何もない日」にゆったり過ごすため

 新スタジアムのテラスの話に戻る。あの広いテラスは、もちろん試合日のためもあるが、むしろ試合のない日のためなのだ。ここにテーブルと椅子を並べ、ゆったりとコーヒーやビールを飲みながらサッカーの話をする。人によってはサッカーとは関係なく世間話に花を咲かせる。バルセロナの街がここにも生まれるのだ。

左は、設計の狙いを熱く説明する伊庭野氏。左は、設計の狙いを熱く説明する伊庭野氏

 既存スタジアムを派手に壊しているが、客席や上部躯体を撤去し、下部躯体は生かす。コストのためもあるが、SDGs的な視点をかなり重視しているという。

 ミュージアムの説明パネルをみると、「Inauguration(落成)」は「2026-2027season」とある。3年後か…。これも日本ではほとんど報道されていない貴重な情報だ。

 何をどう残し、何が変わるのか。着工までにどんな苦労があったのか。プロジェクトの詳細については、3人の帰国後に改めて取材してリポートしたい。

 その取材記事はこちら。
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◎本稿は、建築ネットマガジン「BUNGA NET」に掲載された記事を転載したものです。