避難した女性を集めて美容サービス創業

 今回、国外に避難したのは女性と子どもがほとんどだが、ウクライナの女性は積極的で家族や子どもを大事にするので、経済的・環境的に自分の生活を整えたいという人がほとんどだ。例えば、スペインに乳児と避難した知人はもともと栄養士で、ほぼ2カ月間で英語のウェブサイトを立ち上げ、顧客を国際的に広げている。その一方で、子どもの世話に疲れて、キーウに残った家族のことが不安で気が休まらないことにも気づいた。

 そこでバルセロナにさまざまな美容サービスを提供する場を作った。100平方メートルの綺麗な空間を借りて、そこにウクライナから避難してきた美容師、ネイルアーティスト、マッサージ師を置いて運営しはじめた。新しい職場ができ、お金を稼ぎ、皆で集まる場にもなるのでいいことだ。

 一方、国内でも西部の地方に移転し、全く新しいビジネスを始めた会社も少なくない。戦争のときも消費量が変わらないどころか、増加しているものもある。それは食べ物、子ども用のものやおもちゃなどである。どこの国でもそうだが、ウクライナの親たちも子どもを大事にするから、子ども関係の商品は市場拡大の大きなビジネスチャンスがある。戦時下でいろいろな苦労をしている自分の子どもの安全や教育、遊びをきちんと守ろうとする親が多いのだ。私立のシェルター付きの幼稚園や学校も現れている。

戦時下ではダンスなどの習いごとも人気だ。写真はキーウで開かれたダンスフェスティバル(写真:AP/アフロ)

 ウクライナ人は子どもだけでなく大人も自分の誕生日を大切にするが、戦争のときでも子どもの誕生日会をきちんと開こうという人が多い。そのようなニーズから、子どもの誕生日パーティー開催を助けるイベント会社も増えている。

 ウクライナの親たちは、子どもの習いごとにも熱心だ。コロナ禍の頃からオンラインの消費が拡大していたが、侵攻後も国内外に避難した子どもが外国語や数学、絵画、音楽、ダンス、歌、時にはスポーツといったもののオンラインレッスンを続ける場合が多いのだ。コロナ禍の3年間で、オンラインで学べる仕組みが整ったと言えるだろう。