6月は株主総会の季節(写真:つのだよしお/アフロ)※写真はイメージです

「あれ、こんなところでおじさんが働いてる......」

 近年、非正規労働の現場で、しばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくのだ。45歳定年制、ジョブ型雇用、そしてコロナ。人生100年時代、中高年男性を取り巻く雇用状況が厳しさを増す中、副業を始めるおじさんたちの、たくましくもどこか哀愁漂う姿をリポートする。

(若月 澪子:フリーライター)

総会屋なき株主総会

 6月下旬は「株主総会」のピークである。今月、株価はバブル期の最高値を更新した。日本株を買い漁っているのは海外の投資家というが、日本の株主もルンルンしながら株主総会に足を運んでいるのではないか。

 ホテルやイベント会場を貸し切るような大企業の株主総会は、来場者の誘導や受付など、現場に多数のスタッフを配置する。そのため人材派遣会社に数十人の人間をオーダーすることがある。

 実際、5月ごろから求人サイトで「株主総会スタッフ」の募集を見かけるようになった。日当は1万円程度(東京都内の場合)で、昼食付のところが多い。

 こうしたイベントスタッフは大学生をはじめ20~30代の若者がメインだ。ただ、その中にしばしば副業おじさんが混じっている。

 筆者は、都内で開催される有名企業の株主総会バイトに応募してみた。募集には「受付、誘導、案内。上下黒スーツ着用、茶髪厳禁」とある。

 最近の株主総会は、かつて幅を利かせていた総会屋(特殊株主)がほぼ消滅。その代わり自己顕示欲のためだけに謎のイチャモンをつける高齢の株主が会場を混乱させているという。

総会屋、40年で97%減 「知らない会社から1万円」の時代も(朝日新聞)

 モノ言う株主に、モノを言いまくる高齢株主、やり玉に挙げられる経営陣。なんだか異種格闘技みたいで面白そうだ。

かつては総会屋への利益供与が世間を賑わした時代もあった。写真は利益供与で役員が逮捕された旧第一勧業銀行の役員(写真:ロイター/アフロ)