「知りませんでした」では許されない藤島氏の対応

アザール:この部分はドキュメンタリーに含めていませんが、私は2回にわたり藤島ジュリー景子社長の自宅を訪れました。自宅へ行き、ドアベルを鳴らしました。インターフォンに出た誰かと話して、訪問の理由を説明しました。

 自分がBBCの人間で、何を聞きに来たのかを説明した。彼女はドアを開けませんでした。話をしてくれなかった。これは、彼女が告発内容を知っていたということだと思います。彼女はただのジャニーズ事務所のトップではありません。彼女はジャニー喜多川氏の姪であり、少年たちを搾取してきた叔父から経済的に援助されてきた。

「ごめんなさい」「知りませんでした」では許されない。

 彼女は声明文でこう述べています。第三者機関に事件の調査を依頼することはしない。これは間違っている。第三者による調査は必要です。この分野の専門家に第三者として入ってもらい、必要な情報の開示も、必要な人との面談の機会も提供し、声をあげた勇敢な被害者の方に補償し、カウンセリングも提供してサポートすべきです。

アザール:ドキュメンタリーに含まれていない人も含めて、私が会って話を聞いたたくさんの被害者の方々は、皆さんすでに大人になっていますが、たいへんな葛藤を抱えて生きている。それが性的虐待であり、グルーミングなのです。喜多川氏のような人は、被害者と特別な関係や秘密を共有して虐待行為を可能にする。だから、調査が必要なのです。

 ジャニーズ事務所は勇気を持って語った人たちに、サポートや対話やカウンセリングの機会を提供すべきです。そして、説明責任を果たすべきです。ジャニー喜多川氏はたしかにすでに亡くなっており、彼が裁かれることはもはやない。しかし、このままでは倫理的に破綻しており、許されない状況です。

 ジャニーズ事務所は未だに喜多川氏の名前を使い、彼の搾取によって築いたものの上で稼いでいる。このようなことが続くべきではありません。

説明責任を果たしていないジャニーズ(写真:ロイター/アフロ)

──なぜジャニー喜多川氏に関するドキュメンタリーをこのタイミングで制作されたのでしょうか。