市民の賛否も交錯する「新景観政策」の見直し

 今回の新都市計画案が浮上して以降、賛否が交錯した。昨年秋の決算特別委員会では、最大会派の自民が推進派となり、公明、京都党・維新、立憲民主などは肯定的な立場だったが、共産は「百年の計の景観政策を軽々に壊すことになる」と猛反対した。

 市民の反応も割れた。市の意見募集には869通、2445件の意見が寄せられた。市によるとおおむね7割が賛同となっている。京都市在住者が733人で全体の84%を占め、20代から70代以上まで幅広い世代が声を発し、関心の高さを物語っている。

『見直し案に対する主な御意見の内容と本市の考え方(案)について』という市の発表資料から、市の考え方と市民の声を紹介しよう。

 まず市の考え方はこうだ(一部抜粋)。

〈今回の見直しに当たっては、将来にわたって持続可能な都市の構築を実現するため、これまで時代と共に進化を続けてきた景観政策とも連動しながら、多様な地域のポテンシャルを最大限引き出せるよう、各エリアの土地利用の状況を精緻に分析し、「景観の保全・形成」「住環境の保全・整備」「都市機能の充実・誘導」の3つの観点のバランスを考慮しながら検討してきたところです〉

 見直し賛成の市民の声は、

〈人口減少や子育て世代の減少に対応するための都市計画に期待する〉
〈京都は景観や建築、都市計画上の規制が強すぎて自由な都市開発や経済活動の足かせとなっている。全域が古都保存地区ではないのにイメージや誤解が開発投資を妨げている面があり、これを払拭する意味で今回の見直しには大いに期待〉

 などで、新計画と開発に期待を寄せる人々がいることを示している。さらに、駅南部の規制緩和については〈京都駅の近くはもっと発展してほしい。南の方も寂しいので、大企業を誘致すべき。そのためにも積極的に規制緩和を行ってほしい〉など、規制緩和積極派もいる。

 一方、反対派はどうか。

〈50年後、100年後を見据えて定められた規制をたった15年で見直すのは納得できない〉
〈高さ制限を緩和することで地価が上昇し、ますます住みにくくなる〉
〈高層ビルが乱立するような風情のない京都にしてほしくない〉

 こうした市民の声が賛否交錯するなか、京都市は「新景観政策」の見直しに舵を切ったのだ。