北京の朝のラッシュアワーの光景(写真:AP/アフロ)

 4月18日午前10時、中国国家統計局の3カ月に一度の記者発表が、北京で行われた。檀上中央に座ったのは、国家統計局の報道官を兼任する付凌睴・国民経済総合統計司(局)長である。

 この日の付局長は、昨年までと違って自信に満ちた表情で、今年第1四半期の経済統計について語り始めた。

「第1四半期は、峻厳で複雑な国際環境と巨大で煩雑な国内改革の発展を安定させるという任務に直面しながら、習近平同志を核心とする党中央の堅強な指導のもとで、穏やかな成長と穏やかな就業、穏やかな物価をうまく執り行い、疫病防止を比較的早く平穏にソフトランディングさせ、生産の需要を穏やかに上昇させ、就業と物価を総体的に平穏にし、住民の収入を持続的に増加させ、市場の見通しを目に見えて改善し、経済の運行の始まりをうまく行った。

 初歩的な概算によれば、第1四半期のGDPは28兆4997億元で、価格変動を計算しない形で、前年同期比で4.5%成長した」

「4.5」というデータが飛び出すと、会見場に「フー」というため息が漏れた。これは、記者たちの予想よりも高かったからだ。

通年の目標「5.0%成長」に手が届く結果

 先月5日の全国人民代表大会初日の政府活動報告で、当時の李克強首相は、「今年の経済成長目標は5.0%前後」と述べた。昨年までの悪名高かった「ゼロコロナ政策」から脱却し、今年は経済成長していくという自負が読み取れる目標値だった。

 年間を通して5%成長するには、第1四半期は4%程度あれば、V字回復の見通しが見えてくる。「肌感覚」としてもその程度と思っていた記者たちが多かったため、4.5%という高数値は、「小さな驚き」だったのだ。実際、付司長は、上述のように強気な発言に終始したのだった。