中国で開催されたACG産業イベントに出展したDeNAブース(筆者友人提供)

(加藤勇樹:中国広東省在住コンサルタント)

 ご存じのように、中国ではアニメやゲームが日本をしのぐ勢いで広まっています。中国では、アニメ、マンガ、ゲームの頭文字を取って「ACG産業」と呼びますが、ACG産業は近年非常に活況を呈しています。

 そのカギを握るのが、福建省の厦門(アモイ)市です。そして、その中心となっているのが「厦門国際アニメマンガフェスティバル」です。

 中国のいち地方都市である厦門が、なぜアニメ・ゲームの中心地となっているのか。最新の情報をお伝えします。

ACG産業を市の重要産業と位置づけ

 福建省の中心都市のひとつである厦門市は人口500万人ほどです。中国最古の大学のひとつである厦門大学があるほか、多くの有名ピアニストを輩出してきた文化水準の高い街です。台湾海峡を挟んで台湾と向かい合う位置にある厦門市は、台湾とのかかわりも深く、どちらも閩南語(ミンナン語)に分類される似た言葉を話しています。

 厦門では、ACG産業に早くから力を入れてきました。2010年にACG産業を市の重要産業と位置づけて産業育成を開始したことで、2021年には全国平均の2倍以上の成長率で、ACG産業が成長しました。

「厦門国際動漫節」(厦門国際アニメマンガフェスティバル)が初めて開催されたのは2008年ですが、その当時厦門市のACG産業規模は5億元(約100億円)にすぎませんでした。それが2021年には200億元(約4000億円)を突破しています(「厦門: 波を追う ゲーム業界 ブルー オーシャン」、http://xm.fjsen.com/2022-05/19/content_31038912.htm)。現在厦門市は、中国ACG産業の重要な開発拠点とみなされています。