収容所の主な目的は政治的再教育

 収容所の主な目的は政治的再教育だ。イエール大学の監視団が特定したキャンプのうち少なくとも32カ所(78%)はウクライナ出身の子どもたちをロシア中心の文化、愛国心、軍事教育を施す組織的再教育に組み込まれているとみられている。ロシアが推薦する複数のキャンプは文化・歴史・社会の「統合プログラム」として宣伝されている。

 昨年5月には、孤児とみなされたウクライナの子どもや、親の監護を受けずに残された子どもへのロシア国籍付与を迅速化するプーチンの大統領令が施行された。ロシアに連れ去られたウクライナの子どもたちを両親または法的保護者に返さないことは、子どもたちの人権を明らかに侵害している。

 ロシアがウクライナ南部ヘルソンを8カ月間占領した際、少なくとも1000人の子どもが学校や孤児院から強制移送された。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのバルキーズ・ジャラー准国際司法ディレクターは「これでICCはプーチンを指名手配でき、長い間ウクライナ戦争における加害者を利してきた不処罰を終わらせる第一歩を踏み出した」と語る。

「ICCの逮捕状発行は民間人に対する重大な罪を犯すよう命令したり、容認したりすると、ハーグの牢獄に入れられる可能性があるという明確なメッセージを送っている。ICCの令状は虐待を行ったり、それを隠蔽したりしている人々に対して地位や階級に関係なく法廷に立たされる日が来るかもしれないという警鐘を鳴らすものだ」とジャラー氏は評価した。

 世界40カ国以上の法相が3月20日、ロンドンに集まり、ICCの戦争犯罪に関する調査を支援する国際会議を開く。英国とオランダの共同開催だ。(1)子どもに対する犯罪や性的暴力の被害者や目撃者への心理的支援、(2)デジタル証拠を使用する捜査官の訓練、(3)ソーシャルメディアやスマートフォンの映像など一般に入手可能なソースから戦争犯罪の証拠の収集能力を強化するのが狙いだ。

 英国は39万5000ポンドの追加資金を提供する。今年、英国の支援総額は100万ポンド(約1億6000万円)となる。国際社会はプーチンの戦争犯罪に目をつぶってはいけない。