緊急事態からの「奇跡の生還」も多数

 ワイドボディー機は乗客に十分なスペースと開放感を与えるとともに、客室内の通路をそれまでの1本から2本にすることによって、乗客およびCA(客室乗務員)のスムーズな移動やサービス向上につながった。

 さらに、大型化によって気流の乱れに対する影響を受けにくくなり、快適な空の旅を提供することが可能となった。機体の揺れは機材の大きさに反比例し、大型機材ほど揺れが少なくなるのだ。

 機体がタービュランス(乱気流)に遭遇したとき、パイロットは管制官や航空会社に、その程度によって「TB1」から「TB6」まで分類して報告するのである。ジャンボジェットの場合、小型機の報告より約2段階下、つまり、小型機だとTB4と報告するような乱気流でもジャンボジェットの場合はTB2と少なく感じるように、揺れに強いのである。

 ジャンボジェットがもたらした功績として最後に述べたいのは、高い安全性についてである。

 群馬県御巣鷹山に墜落したJAL123便のような不幸な事故もあったが、航空史に残るような緊急事態から奇跡の生還を果たした数々の事例は、このジャンボジェット機によるものが多い。

 それは特に米国に集中しているが、その理由は米国人パイロットの判断力と技術力の高さによる。

 もともと航空大国の米国で育ったパイロットは、その能力で他の国々を圧倒しているうえに、米国ではジャンボジェットクラスの大型機の機長になるには小中型機の機長を長く経験する必要がある。段階的に昇格していくため、大型機を操縦するようになるまでに、必然的に高い能力を身につけているのである。