「DC銀座」の恩恵で市の財政が潤っている

「DC銀座」と称される市内には、およそ20カ所のDCが存在しているとみられている。機密性が極めて高い施設のため、存在を公にしていない企業もあり、実態は市当局もつかめていないという。とはいえ、DCの集積は市の財政に大きな潤いをもたらした。それは市の財政を見れば一目瞭然だ。

 令和3年度(2021年度)決算をみると、一般会計の歳入は約475億円。地方税約220億円のうち、固定資産税が116億4600万円と5割以上を占めている。

 10年前は東日本大震災の年なので、その前年の平成22年度(2010年度)と比較すると、歳入は1.32倍、地方税は1.47倍、固定資産税は1.62倍となっている。固定資産税だけみても、およそ10年間で約44億円も増加していることが分かる。ちなみに近隣の自治体に比べ、市民一人当たりの固定資産税額は1.6倍から2.4倍となっている。DC銀座の恩恵である。

 恵まれた税収があることから、印西市の財政基盤は強固だ。財政力指数は1.04で全国平均0.50の倍以上、実質公債費比率0.2%、将来負担比率2.2%は全国平均を大きく下回り、極めて健全性が高い。

DC建設現場と観覧車(筆者撮影)

 DC集積のメリットはそれだけではない。市の関係者がこう語る。

「データセンターの集積地ということで、メディアの方や自治体関係者の方からの問い合わせが多くなり、印西市の知名度が上がってきていることを実感しています。おかげさまで海外でもINZAIといえばDC集積地という認識が広がっていると聞いています。

 関わる人材が限られているデータセンターは、雇用創出にはあまりつながりませんが、固定資産税が桁違いに増えたことで教育や子育て、インフラ整備などまちづくりの財源に充てさせていただいています」(印西市経済振興課の担当者)