米中両国とも半導体の大半を台湾に依存する

 バイデン氏は「新法により全米で何十万もの雇用を創出する。沿岸部だけでなく中部でも。オハイオ州コロンバス郊外にある米インテルは4平方キロメートルの敷地に半導体工場を建設中だ。まさに夢の大地。この投資で7000人の建設雇用、3000人の工場雇用を創出する。年収13万ドル。多くは大学の学位がなくてもできる仕事だ」と胸を張ってみせた。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)のまとめでは、2020年以降、米国では半導体関連投資が相次ぐ。インテルはアリゾナ州でも工場建設を計画し、台湾積体電路製造(TSMC)はアリゾナ州で4ナノメートルの集積回路(IC)ウェハーを生産する第1工場と3ナノメートルの第2工場を建設。韓国サムスンもテキサス州で先端半導体工場建設を計画する。

「米中両国は消費・販売する半導体の大半を台湾の世界的な優位性に依存する。中国の半導体企業は自国の家電産業に供給するため必要な半導体の6%しか製造できない。中国は不足分の7割をTSMCに頼っている。TSMCは米国の半導体企業が設計した先端半導体の92%を契約生産している」(米スティムソンセンターのリチャード・クローニン研究員)

 中国が台湾の半導体生産に深く依存していることは中国の台湾侵攻を思いとどまらせる「シリコンの盾」になるとの見方がある。TSMCのマーク・リウ会長は米CBSニュースで「世界は台湾のハイテク産業を必要としている。この地域で戦争が起こるとすべての国の利益に反するので世界はそれを許さないだろう。それが“シリコンの盾”の意味だ」と説明した。

昨年12月、台湾のTSMCのアリゾナ工場を訪問したバイデン大統領を案内するTSMCの劉徳音(マーク・リュウ)会長(写真:AP/アフロ)