韓国の尹錫悦大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 韓国は「世論調査」が極めて盛んだ。

 政治関連の世論調査結果が毎日のように公表される韓国社会は、「世論調査万能」の風潮が強まっている。政治イシューはもちろん、政党代表や大統領候補まで世論調査で決定している国は、筆者が知る限り、韓国だけだ。

 ところが多くの世論調査は、少なすぎる標本(調査対象者)と回答者に先入観を与えかねない質問設定により、国民の世論を反映するというより、むしろ社会的な混乱を煽ってしまっている。最近、BTSの兵役問題の賛否を問う世論調査は、まさに韓国の世論調査の限界点をそのまま示していると言えるだろう。

世論調査の俎上に上った「BTS兵役免除」問題

7月19日、「2030釜山万博」の誘致広報大使に任命され記念写真に収まるBTSのメンバー(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 グループ活動の中断を宣言して個人活動に入ったBTSは最近、「2030釜山国際博覧会(エキスポ)」の広報大使に任命され、グループ全員が釜山市の誘致活動に力を注いでいる。これを機に韓国政界では、BTSは入隊する代わりに公共機関や公共団体で服務すべきだという「代替服務(兵役特例)」の主張に再び火が付いた。

 BTSは2020年から施行されている「兵役特例法一部改正案」により30歳まで軍入隊を延期することができたが、今年末が過ぎれば最年上のメンバーのジミンが徴集対象になるため、年内に軍入隊か否かを決定しなければならなくなった。