少子高齢化が加速する中国。人口ボーナスから人口オーナス(負荷)の社会に移行している(写真:AP/アフロ)

(平山賢一:東京海上アセットマネジメント チーフストラテジスト)

2021年が中国の人口ピーク

 7月11日の世界人口デーに発表された国連人口推計は、世界中に衝撃を走らせた。2022年にも、中国の総人口が減少し始めたことを明らかにしているからだ。

 国際連合による人口推計は、数年に1回のペースで改訂されてきたが、今回の改訂は非常に大きなものになっている。長年にわたりこのデータを見てきた立場から言えば、これほどドラスティックに変えてもいいのかというくらいに、数値が変化しているのである。以下では、この変化の影響を確認してみたい。

 中位推計(出生率、死亡率ともに中位推計した場合の推計値)によると、中国の人口は、2021年に14億2000万人超でピークを迎え、2035年には14億人、2052年に13億人をそれぞれ割り込み、そして概ね半世紀後の2078年には10億人を下回るとされている。

 以前から、1970年代末から始まる「一人っ子政策」の影響が、時間差で将来の人口減少の要因になると指摘されてきたが、2022年改訂では、その影響がより大きく見込まれたと考えてよいだろう。足元の中国政府による政策転換(第3子の出産を認める方針)にもかかわらず、人口減少の動きは加速するというのだ。


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 3年前の2019年に改訂された推計では、2031年に14億6000万人でピークアウトして2032年から人口減少社会に移行するとされていたのが、10年も前倒しされている。2000年代の経済成長を支えてきた人口大国・中国だけに衝撃が大きかったと言えよう。