「月曜日のたわわ」が国連助成機関を巻き込んで大騒ぎになったが、データ分析によれば、国民の8割が問題視していない(写真:アフロ)

(山本一郎:次世代基盤政策研究所理事)

 日経新聞に、巨乳の妙齢女性の日常を描いた漫画「月曜日のたわわ」の広告が掲載されました。この問題では、おなじみのハフポストが焚きつける形でUN Women(国連女性機関)が日経新聞に抗議。話がどんどん大きくなったのはみなさんご承知の通りです。漫画による表現の自由と、女性の権利拡大という正義がぶつかる局面になったわけです。

 この問題は今に始まったことではありません。過去にも、オタクだけのものだった萌え絵表現が公共の場で広告・広報に使われ、炎上した事案がありました。「温泉むすめ」から「宇崎ちゃんは遊びたい!」まで、交通機関や温泉といった人の目に触れる場所に掲載された萌え絵や巨乳は、枚挙にいとまがないほどの緊張関係を生みだしています。

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国連女性機関が『月曜日のたわわ』全面広告に抗議。「外の世界からの目を意識して」と日本事務所長(https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6257a5d0e4b0e97a351aa6f7)

 先日、この問題についてサーベイをした経済学者の田中辰雄先生の論文がシノドスに掲載をされていました。大変妥当な調査手法で日本社会の世論を探った結果、騒いでいるのは一部の中高年女性層が中心なのではないかという結論に達しております。

 実際、ひとくちに「性的な表現」と言っても、その人がそう感じるかどうかには差があります。そのような萌え絵表現に慣れ親しんでいない中高年ほど性的と感じて、センシティブなのではないかとも思われます。

 Twitterのクラスタで見ても、この問題で憤っているのはおおむね左翼系クラスタの中でもおなじみのフェミ層のようなので、恒例行事みたいなものになっておるわけですね。

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「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか(https://synodos.jp/opinion/society/27932/)

 男女全サンプルで見るならば、8割の日本人が日経新聞に掲載された「月曜日のたわわ」広告を見ても問題を感じないという結論になります。問題視する2割もサーベイで「どうですか」と聞かれたら問題だと答える程度ですし、事件を知っている人もパネル全体の5分の1ほど。ほとんどの国民にとって、「わざわざ質問されれば問題だと感じる人がいるぐらいで、全体的にどうでもいい話題」であるとも言えます。