「二国間貿易や軍事協力を強化する一方で、核兵器、国際宇宙ステーションの開発など、あらゆる分野で中露は結束を強めている。中国は自由主義的世界秩序を解体するための戦略的パートナーとロシアをみている。中国はウクライナ戦争を利用してアメリカの必然的な衰退を促し、プーチン氏が欧州で拡張主義に走ることを歓迎している」

「世界は再び侵略の時代に戻った」

 習氏がプーチン氏のウクライナ侵攻を容認したのは、自国の拡張的な野心から国際社会の目をそらすことができるからだとエルウッド氏は指摘する。

「米欧の勢力をインド太平洋と欧州に分散できる。アメリカは、自国の価値観に合致した国際的なルールに基づく秩序の強化に失敗しただけでなく、アフガニスタン撤退が物語るように軍事力を世界に展開する力が弱まっている。中国とロシアから見れば今がギアを上げるべき明らかなタイミングだ」

 このプリズムを通して見た場合、ウクライナだけの問題にとどまらないことが浮かび上がる。ウクライナで起きていることの成否は地政学的に大きな影響を及ぼす。米欧は結束してプーチン氏の野望を封じ込めることができるのか、それとも危険な時代の再来を象徴するものになるか。

「世界は再び国家間の侵略の時代に戻った。私は間違っているかもしれないし、『トゥキディデスの罠』の第3段階でもないのかもしれない。しかし今起きていることをみると、イギリスが果たすべき役割は西側のためらいを払拭するため範を示すことだ。まずは国防費をGDPの3%に引き上げることから始めなければならない」

 エルウッド氏は最後にそう力を込めた。